このまま

こころのままに

君のHELPを見ないふりしてゴメン

君が今、助けを求めてくれたらどんなに良いか。

僕はあの時、君の助けを見て見ぬ振りをした。

 

事業で失敗し地方へ帰り、奥さんと離婚、子供とも離れて暮らす事になったんだってね。

 

僕は職場に未だ馴染めず、貯金も少ない。1人東京にしがみつくのに必死だ。

 

あの時君は、生と死の狭間を歩く程にボロボロの精神状態だったのかもしれないが、僕より地位も、金もあった。音大で準ミスの彼女もいたね。

 

僕の想像力は豊かじゃないんだ。

助けてほしいのは僕の方だった。僕には余裕なんて無かった。君のことは好きだけど、仕方なかった。

 

ただ、今の君の状況を聞いて「助けたい」と思えたんだ。心から。状況は変わらない、いや寧ろ以前より悪いとも言えるけど。

連絡しよう。

また一緒に酒を飲める日が来るかな。

母へのジレンマ

「萌ちゃんお休みなさい。明日も早いんだから、早くお布団に入っちゃいなさい。」

夕食の洗い物をしながらそう言う母は明日、私よりも30分早く家を出る。私と弟の朝食を用意してから。

 

「お弁当作らなくてごめんね。お母さん不器用だから、お弁当見られたら恥ずかしいでしょう。これ、千円。」

学校がある日は毎日お昼代をくれる。母はお昼を食べない。

 

高校生の私は千円あればお昼を満足に食べられる。半分でいいから、残りは母が使ってほしい。そう何度言っても断られる。

 

でも実際、千円のお昼代は決して多い訳ではない。

思春期は無限に食べられる上に、街中にはスタバに31  学内にコンビニ、誘惑はゴマンとある。

少しの気の緩みが原因で、いつも残金は殆ど無い。

 

母は自分のことを【自発的に考え仕事をすることがトコトン出来ない人種】と考えているそうだ。仕事は派遣された工事現場で、人の指示のもと働いている。

 

母は今年60歳で、体力勝負の仕事が適任だとは思えない。何より娘として、体の無理をして欲しくない。細い母の体を傷つけるほど重い荷物を持ち、家族の為お金を稼いでいるんだろうと想像して、泣きたくなる。

 

何故母が頑なに事務や総合職で働けないと思うのか、私には理解が出来ず何度か聞いてみたことがある。

するといつも悲しい顔をして、謝る母。

過去何度も働いて、職場の方へ迷惑をかけたと言う。

 

問い詰めると、責められているように眉間をシワを痩せる母に胸が締め付けられた。もうこの先、これ以上仕事について伺うことはない。

 

人に尽くしてばかりな優しい母。大好きな母。に甘えて、何も出来ないダメな私。

 

弟に話すと、呆れられた。

ほんと、親子だね って。

ビールの泡泡

社会に慣れるには どのくらいかかる?

 

ビールの泡だって いつも上手く作れない

薄い膜みたいな泡か 勢い余ってひとつひとつが大きくなって 風が吹いたら割れてしまうような泡か

いずれにせよいつも情けなく存在する 

 

弾力のある泡が作れる頃には 私も

世界線

君のこと 本当に大好きだった

憧れでもあったし 投影でもあった

住まいのようでもあった

ひとつに溶け合って ずっと 同じものを見ていたかった

 

いま 君はいない 君しかなかった僕はいない

 

世界は以前よりやさしい

 

大切にしたいものが 沢山 沢山出来た

僕はひとりまっすぐと立っている

 

ただ視界がぼやけて 側にある大切のひとつひとつの輪郭が よく見えていない

 

いやだ

 

僕はこの世界の住人になりたい

目を凝らして まっすぐ しっかりと 立っていく

がらくただらけの島

ひとりぼっちだ いま たぶん

 

ひとりぼっちになりたくなくて

断れなくて 断れなくて 断れなくて

断れないが積み重なって 流されて いま

 

ここはどこ?

いらないものが溢れている

 

必要なものは遠い 手の届かないところへ

いらないもの 捨てなきゃ

身軽になったら 歩いて逃げられるはず

 

何も大切にできない自分も いらない